2013年03月25日

ハピネス 桐野夏生


有沙は地面に足を着けたくなって、思わず足踏みをした。

桐野夏生さんの近著です。
憧れの「タワマン(タワーマンション)」に暮らす若い母親の有沙。
おしゃれなタワマンママたちのグループに入っているのですが、完全には、なじめないでいます。

タワマンママたちは、そこそこ稼ぎのある夫と結婚をし、専業主婦をしています。
子連れでママ友同士で集まり、おしゃべりをして毎日を過ごしているようです。

そういう人生に憧れたり、そういう人生が幸せだったりする方もいらっしゃるでしょうが、主人公の有沙は、居心地の悪さを感じています。

それは夫と別居中であったり、親のことを誤摩化してつげていたり、と言ったこともあります。
何故、誤摩化しを?と言うと「見栄」でしょうか?

「見栄」をはらないと、生きていけない場所って、つらいですよね。

憧れだった場所(タワマンでの幸せな結婚生活)に、やっとたどり着きました。
なじもうと努力したけど、結局、場違いでした。
紆余曲折の末、やっと、気がつきました。
そして、行動を起こすまでが、女の嫌な部分まであますところなく描かれています。

「タワマン」が身の丈にあった場所の方もいれば、不釣り合いな方もいるでしょう。
有沙の場合、「タワマン」は、自分の居場所ではなかったようです。

自分の今いる場所を「似合わない」と認めるのはつらいことですが、認めないことには次にすすめません。
認めることができれば、前を向けるはずです。
有沙が、自分なりの人生を着実に歩んでいくことを願ってやみません。

icon_amazon.gifハピネス

icon_rakuten.gif【送料無料】ハピネス [ 桐野夏生 ]
posted by けいけいあかか at 22:26 | Comment(0) | 生き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月24日

人間失格 古屋兎丸(原案:太宰治)

年末年始にはまった古屋兎丸氏が、あの太宰治の「人間失格」を脚色して漫画にした作品です。

自分は天才なのです。女に寄生する天才・・・僕にはもうこれしか生きていくすべがないのです(葉蔵)

俺の見てきた中で最低の男だマジで・・・なのに、どうして女はお前を助ける?(堀木)
確かに、葉蔵みたいな人って実在しますよね。
「女の人に寄生する天才」とはいかなくても、「女の人に引立ててもらう天才」が。
今までいた場所で、ひとりづつはいました。

そんな「葉蔵くん」を引立てるのは、世の中に、あまたと存在する母性本能をもてあましている女性です。
「誰かに何かをしてあげたくて、しょうがない!」という方たちです。

そんなところに「葉蔵くん」は、すっぽりはまるようです。
どうってことがなさそうな「葉蔵くん」のライブに、せっせと通ったりします。

「葉蔵くん」タイプに、まったく母性を感じない自分からすると「そんなに尽くして、楽しいの?」なのですが、ついつい支えたくなってしまうようです。
どう見たって「片利共生」なのですが、本人たちは意に介しません。

「何かを他人にしてあげる」は、自己満足なので、寄生されている本人が、それでよければ、それでいいのでしょう。

「葉蔵くん」も、寄生する術を心得ているので、適度にお礼をしたり、受けた恩を(何十分の一でも)返そう!という気はあるし、骨までしゃぶるようなことはしません。

下駄を履かせてもらっていることを承知の上で、上手に活用するならよいのですが、「自分の実力」と勘違いしている「葉蔵くん」が多い気がします。

そうこうしているうちに、「葉蔵くん」が、本当の「実力」「人間性」を身につけ、引立ててくれる人と、トラブルを起こすことなく、無事に卒業できるか、否かで、「葉蔵くん」の、その後の人生が大きく決まる気がしますね。

今までであった「葉蔵くん」の末路が気になります。

icon_amazon.gif人間失格 1 (BUNCH COMICS)

icon_rakuten.gif【送料無料】人間失格(1) [ 古屋兎丸 ]



posted by けいけいあかか at 19:37 | Comment(0) | 映画のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月23日

戦場のメリークリスマス 大島渚監督



大島渚監督の追悼上映がご近所でされていたので、みてきました。
この「戦場のメリークリスマス」は、自分が小学生の頃に、色物or傑作と評価が分かれた作品です。
地元での上映は何かのご縁!として、見てきました。

第二次世界大戦末期のジャワにある日本軍の俘虜キャンプで起こるあれこれのお話です。
物語は4人の男たちを軸にすすんでいきます。

叩き上げで暴力的でも人間味あふれる鬼軍曹:ハラ。
2.26事件に加われず、死に場所を求めているであろう過酷な俘虜施設にはインテリ、デリケート、かつナイーブ過ぎるヨノイ大佐。
酸いも甘いも噛み分けた日本シンパのローレンス。
弟を守ってやれなかった罪悪感を抱えているデビット・ボウイ演じるセルビア。

誰もが「I'm right(わたしは正しい!)」と信じ、ぶつかるのですが、「正しいもの」は、その時の権力によって変わるので、「正しいものなど、どこにもない」のです。

要所要所で、音楽が右脳に響いて、感情が説得されます。
鎮魂と、許容(受容ではない)の念が、心にストンと落ちてきます。

それにしても、動かされるものと、変えられないものとがありますよね。

ヨノイが首だけ地上にだされた(見せしめ?)セルビアの遺髪を、切り取るシーン。
組織の秩序を守りながらも、どうしょうもない思いをみせるシーン

ラストにローレンスが「わたしなら、あなたを助けることができないわけではない」と言う台詞に被せるように「I'm ready to die(死ぬ準備(覚悟?)はできている).tomorrow morning」とハラが言うシーン。
お互いに、分かりあえないのがわかって、その人が己の信じる道を全うするため、死を尊重するしかないやるせな。
不器用なハラが、精一杯気持ちを伝えようとする「メリークリスマス、Mr.ローレンス」とくり返すぎこちない笑顔と言葉。
「笑うしかない」という状況なのです。

同胞に「俺だったら、ハラきりしているよ」と言われながらも、見せしめにされるセルビアを見張るローレンス。
そして、ローレンスだけが生き残った現実。
己の道を貫いて、生延びるのが正しいのか、死をもって自分の道を貫くのか?

戦いは、それぞれの「正しいこと」のみを貫こうをする時に、起きることなのでしょう。
己の信じることをまっとうする姿が、鋭利な刃物のように、美しかったりするのかもしれません。

「わたしが正しいんだー」と主張したくなった時に、♪チャララララ♪と頭の中に響きそうです (ー_ーゞ

icon_amazon.gif戦場のメリークリスマス [DVD]

icon_rakuten.gif【送料無料】戦場のメリークリスマス [ デヴィッド・ボウイ ]
posted by けいけいあかか at 00:06 | Comment(0) | 映画のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月22日

愛のコリーダ 大島渚監督

ご近所の名画座で「大島渚監督追悼上映」をしていたので、「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」を見てきました。
あの「阿部定事件」を題材にしている!ときいていたので、たいそう下世話な興味を抱き、映画鑑賞にでむいたのです。


少なく見積もって、全編の8割は、おふたりが情事をしています!と言う映画でした( ̄▽ ̄;)
匂いたつような官能が、スクリーンから漂ってきました

最初は、料亭の旦那が、新入りの女中さんに手をだして・・・、というよくある話です。
「攻める男」「受ける女」という構図でした。

それがいつしか、定の一途さ、狂気、独占欲によって「攻める女」「受ける男」に変わっていきます。
どれだけ、女性が無茶をしても、受入れる男性の懐の深さが強調されています。
大島監督は「男女の究極の情愛」を描いたようで「男の美しさ」を描きたかったのかもしれません。

そして、男は女に絞め殺されることも、受入れるのです。
色々な解釈があるとは思いますが、あのふたりは、行き着くところまで、行き着いて、幸せだったと思います。

icon_rakuten.gif愛のコリーダ ~IN THE REALM OF THE SENSES~ (Blu-ray) (PS3再生・日本語音声可) (北米版)

icon_amazon.gif愛のコリーダ
posted by けいけいあかか at 00:41 | Comment(0) | 映画のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。